ぬるい毒

ぬるい毒

ぬるい毒

面白かった。発売時に買って、でもいつもの本谷さんの作品にあるポップさがなく、
途中で読むのやめてたんですが、時間があったので読みなおすと、ハマりました。

これまでの作品にない見たくないけど見てしまいたいという気持ちを抱かせる内容でした。好きな男と共謀して付き合っている男に別れを告げる猿芝居をして侮辱するシーンなんてもうすごい。主人公が好きになる男が嫌ーな奴で、こういう精神的な嫌悪感を抱く人は今まで著者の作品にはいなかった気がする。新境地ですね。

主人公の女性の考えの深さとは別に、男やその取り巻きは表面を反応としてを受け取って、主人公の、心の中に溜まった毒素を爆発させて鬼になる、という思いは妄想でしかなしえなくて。であればいっそのこと笑われることを自ら受け入れピエロとして生きていくことも、一つのガス抜きになるのかもしれないという思考になったというのは、現実を受けとめ大人になったのか打ちのめされたからなのか、辛い結末でした。