ドーン、オレンジアンドタール、夜にはずっと深い夜を

ドーン (100周年書き下ろし)

ドーン (100周年書き下ろし)

いろんな観点で読める。ミステリー、SF、家族愛、サスペンスうんぬん。
分人(ディビジュアル)という言葉がキーワードになってて、それは接する人によってさまざまな顔を持つ現代人の特性をうまく表現している設定だなと思った。こういう特性を言葉として定義し、SF的な思考実験をしているのが斬新で面白い。

オレンジ・アンド・タール (光文社文庫)

オレンジ・アンド・タール (光文社文庫)

焦燥感はんぱない。表題作は高校生が主人公、併録は表題作を23歳のトモロウさんからの視点で描かれて、どちらももう年下のため、どうしても上から見てしまうが、社会に出るまでの狭い世界での自分というものの生意気さやそのぐらつきへの恐怖からくる不安定さがとても真に迫って描かれてて、否が応でも思い出さられてしまった。自分でもいまいち理解しきれていないことを必死に言葉にして伝えてあげようとするけど出来ずに葛藤する緊迫感がある。

夜にはずっと深い夜を (幻冬舎文庫)

夜にはずっと深い夜を (幻冬舎文庫)

ショートショートで、アイデア先行型だから、面白いもののさらっと読めてしまうので、ぜひ長編を読んでみたい。