梅崎春生 (ちくま日本文学全集)

梅崎春生 (ちくま日本文学全集)

梅崎春生 (ちくま日本文学全集)

講談社文芸文庫のものと半分くらい被っている。
輪唱、春の月が印象に残った。どちらも登場人物の日常を描いてその人とすれ違う人の人生を描いてつついていく。さまざまな個性的な人生を生きていているが、どれもとてもやるせないものばかりなんだけど、例えば、
部屋を借りている人を追い出したいために鴨の子供を大量に買って廊下におく大家、
ラジオが聞きたくてしょうがない薬屋、
バイオリンを弾いてお金を稼ごうとするけどしゃっくりがおさまらなくて、しゃっくりが出るごとに別の曲を弾いてしまう男、
などところどころユーモアがある。絶妙な加減で面白いです。