痴人の愛

痴人の愛 (新潮文庫)

痴人の愛 (新潮文庫)

主人公の譲治と譲冶が育て上げた妖艶な美女ナオミ。譲治が手厚く育てるためわがままが次第にエスカレートしていき、さらにはたくさんの男を侍らすようになるという、戦前にこんなハイカラな小説があったなんて。まるで昼ドラのようです。それでいて決して下品ではなく上品です。
Mとなった譲治はSのナオミなしでは生きることができなってしまうわけですが、家族、恋人や趣味(アイドル、服、音楽etc)のためだったら労力やお金を惜しまないという普通の人にも当てはまる構図とも取れ、ある種そのように打ち込める、はまれるものがあることが人生の幸福の一つの形のように思えてきます。