二度はゆけぬ町の地図

短編集。著者の若かりしころの彼女がいない時代の話で、彼女とのやり取りが面白いほかの作品とは違い、おもに世間から屈辱を受けた話が(だいたい自分が原因ですが)赤裸々に語られています。最後に引用される"浮世とは、他人の耐えがたきものを耐えての、果てしなき行路のことであったか"という言葉で端的にあらわされており、思わず共感してしまいます。