漂砂のうたう

漂砂のうたう (集英社文庫)

漂砂のうたう (集英社文庫)

直木賞受賞作で花魁ものといえば吉原手引草が思い浮かびますが、こちらも面白いです。一流どころではなく二流どころの遊郭を舞台とし、江戸から明治へ移り時代が変わりつつあるとしているのが斬新で、登場人物が二流という屈託を抱えつつ時代に取り残されるんじゃないかと不安を抱く心境がひしひしと伝わってきます。また花魁はもとより、落語、怪談などを織り交ぜているのが日本の伝統文化の雰囲気を醸し出していて魅力があります。