嫌われる勇気

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

町田康さんが何かのインタビューで人間の悩みのほとんどは人間関係に起因する、と言っていて、本書にも同様のことが書かれてありました。また読んでる途中、あれ、これカート・ヴォネガットの小説に書いてあったなぁ、と思って読み進めると、見事に登場人物がヴォネガットの〜、と言っててにやりとしてしまいました。
言葉自体は知ってて確かになーと思ってはいたけど、分かりやすく前後の文脈で説明されているので、より納得して理解できます。

読んでいて気になったのは、空白を埋めなさい、や、ドーン、など最近の平野啓一郎の著書で書かれている分人のことが頭に浮かびました。アドラーの考えでは自分は一つで縦の関係ではなく、横の関係をと言っていのだけど、分人では縦の関係の個もあれば横の関係の個もある気がします。ただどちらも今の自分の世界がすべてではなく、分人で言うと一つの個がすべてではないよ、と言っているのは合致しているなと思いました。アプローチは一見相反しているように感じましたが、根底では共通しそうなことがありそうです。

内容に関してシンプルにするために言いきってしまう強気なところが印象に残りました。また全然関係ない人が似たようなことを言っていたりしているのを思い出したので、説得力が増しました。