花のノートルダム

花のノートルダム (光文社古典新訳文庫)

花のノートルダム (光文社古典新訳文庫)

オカマたちの間で、「てんで」という言葉が流行って、そこから「てんで!てんで!」となり、最終的に「T・T」でも意味が通じるようになった、という件に思わず笑ってしまいました。もはやディヴィーヌが「どんだけ〜」というIKKOさんにしか思えなくなってしまいました。
昔知り合いにBLの良さについて聞いたとき、”性別云々を超えた人間同士の恋愛が描かれている”ということ言われて、なるほどそれも一理あるな、と思っていたのですが、でこの作品はBLではないですが、同性愛が赤裸々に描かれておりノンケからするとなかなか壮絶です。というのは、以前TVでミッツ(orマツコ?)さんが他の出演者にマツコさんと関係を持つのですか、というようなことを聞かれて、”それは共食いにあたるからしない”、といってたのですが、まさにその共食いの世界が描かれていたためです。共食いのなかで葛藤するデヴィーヌにはなんとも言えない哀愁があります。
構造としては、いわゆるメタフィクションにも当てはまる小説だと思うですが、狙ってやっているというより、書きたいことを書くために衝動的にそのような表現になった、というような印象を持ちました。技術うんぬんを超えた熱量を感じます。ロックバンドの1枚目のような。