ポーの話

ポーの話

ポーの話

これまた素晴らしかった!
麦踏みクーツェも素晴らしかったですが、ポーの話はそれを上回ってました!

純粋無垢なポー。むしろ無垢すぎて鈍感というほうがあっているが、感情や感覚を徐々に知っていく成長物語。正確には成長というより、人が本来持つであろう正常な感覚が芽生えていく物語であり、読んでいて正常な感覚、それは悲しみだったり、寂しさ、大切なものについてや繋がっていること、罪悪感についてなど、を改めてその価値というか素晴らしさやもどかしさを感じました。

不思議な世界観にうなぎ女?たちの息子であるポー、登場人物もへんてこで魅力的な人が多く、川を流れていくように物語は風景を変えていく。

表面の照り返しとその底にたたえられた深い闇。底にもぐっていきたくなる衝動と、表面の光をいつまでも見ていたい思い。それが溶け合って焦燥を感じる。とはいえもぐってみなくちゃ何も分らない。だからもぐっては浮かんで、もぐっては浮かぶんだな。

出会いと別れを繰り返し、罪を犯し償い、そんな人生を。もしかしたら人は成長していくのではなく、本来もつ正常な感覚を取り戻すために生きているのかもしれない、なんて思ったり。

読んだ後なんだか満たされたようなとっても素敵な本でした。

そういえば9月1日に、ジョン・アーヴィングの「ピギー・スニードを救う話」が、25日にカート・ヴォネガットの「バゴンボの嗅ぎタバコ入れ」が文庫で発売するみたいです!!楽しみだ(^^)