重力ピエロ

重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

ミステリー小説っていうのはどちらかというと苦手です。必要以上にハードボイルドな感じだったり、こじゃれていたりっていうのは抵抗があります。過剰すぎると違和感を感じてしまう。特に日本の小説だといかんせんカッコがつかない気がする。海外のものだとわりかしすんなり受け入れるのだけれど。

伊坂幸太郎を読んだのは初めてでしたが、なかなか楽しめました。ミステリーですが、さほど謎というか事件の真相に趣をおいているのではなく、なので読んでると或る程度大筋は予想しえました。そもそも事件自体の謎よりその動機なぜ?ってことに謎があります。てなわけでミステリー自体よりも登場人物やら、その心もよう、また事件のキーワードとなる遺伝子の話がおもしろかった。

始まりの文章と、終わりの文章はすごいいいです。同じ文章なのですが、物語を読むことで、もちろんファーストインパクトもいいのですが、それ以上に印象的になります。意味が付加されるんです。言葉って思いを入れる器だとかって誰かが言ってましたが、入れるのは言葉を放つ人ももちろんそうだけど、受け取る側によるところも大きいんじゃないかと思いました。