人間の土地 うらおもて人生録 乳と卵

人間の土地 (新潮文庫)

人間の土地 (新潮文庫)

聖書は読んだことがないけど、この本のように印象的なエピソードと言葉でかかれているんだろうとな、と思った。
特に印象的だったのは、飛行機などの機械について語っていた章です。

今日機械が人間をそこなうようにぼくらに思えるのは、もしかすると、かくまで急速な変化のあとを批判するに必要な時間の距離がまだ足りないためかもしれない。

飛行機の喩えで、技術が進歩することで計器やいろんなものを気にしなくてよくなる分、より空と対等に渡り合えるうんぬん、と書かれてました。
私自身インターネットや携帯電話が人間性を損なっているのでは、と危惧していましたが、ちょっとこういう見方もあるなと思いました。

うらおもて人生録 (新潮文庫)

うらおもて人生録 (新潮文庫)

語り口調がやさしくてとても読みやすい。劣等性のバイブル。

人間は、結局、ここだけは死んでもゆずれないぞ、という線を守っていくしかないんだ。その、ここだけはゆずれないぞ、という線を、いいかえれば、自分の生き方の軸を、なるべく早く造れるといいんだがなァ。

乳と卵

乳と卵

おもしろかった。語り口調が、町田康の女版みたいです。
同収録の、あなたたちの恋愛は瀕死、もよかった。

巻子は「胸を膨らます」ということ、あるいは、「そんなことがまじで自分にできるのか」の、その境目でいたく興奮だけしているようで・・・