ミュージック・ブレス・ユー!!

ミュージック・ブレス・ユー!!

ミュージック・ブレス・ユー!!

これはとても面白かった。洋楽マニアの高三女子アザミ。日々迫ってくる受験、進路問題をいつまでたっても他人事みたいにしか考えられなくて、逃げるようにヘッドホンで音楽を聴く。ちょっと依存的。とはいえ焦燥感を無意識下で感じているからこそ、真剣になれない自分に、いらだち諦めがあるように感じました。物語としては大したことが起こるわけではなく、むしろ日々の日常の出来事に対する思いが丁寧に書かれている。なんだかとてもリアリティがあって心地いい。そして最後もあっけなくていい。現実は悲しんだり実感したりする間もなくとてもあっけない、というのがせつなくていいです。アザミはこれからどうなるのだろうか、と読み終わって赤の他人とは思えなくなりました。