贋世捨人

贋世捨人 (文春文庫)

贋世捨人 (文春文庫)

世捨て人になりたいと願うが、所詮覚悟がなく贋世捨て人としてくすぶっているしかない。本人に自覚があるからこそ哀しみがすごく伝わる。そんなくすぶりの中、中盤から主人公が小説を書き出し、“風呂桶に釣り糸を垂らし続ける”ような、その宿縁を受け入れていく過程はヒリヒリしました。