旅のラゴス

旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (新潮文庫)

正統派SF小説。旅はもっとも分かりやすい人生のメタファーであり、旅のラゴス、というタイトルから分かる通り、そういう見方もすると面白い。要約すると以下のようなストーリー。

設定は、高い文明をもった人類が不時着した惑星で、その祖先はその文明および知識を失った世界。主人公ラゴスはその失われた文明の遺跡がある南に向かい旅をしていく。
たどりついた遺跡では過去の大量な書物から、現在の文明をはるかに超過した世界の知識を得て戻ってきたラゴスを人々は神のように崇めるが、ラゴス自身はただ知識があるだけでそれを発明したわけではないのだからと戸惑う。

ラゴスが旅立ち戻ってくるまで、30年近くかかっており、旅が人生そのものになっている。
そこで得た知識を役立てるうえで、知っているだけと発明することとは違うというのはまさに一般的な人生でも当てはまるよなーというような感想です。

ラゴスは戻ってきた後、老衰してもなお最後さらに旅立ちます。旅と移動の違いは、戻る場所があるかないか、と聞いたことがあります。戻るつもりのない旅立ちは旅ではないのかもしれないが死んで無に帰るというレベルで考えると一つ次元が上がった人生という旅をしに行ったんだなと思いました。