長い終わりが始まる

長い終わりが始まる (講談社文庫)

長い終わりが始まる (講談社文庫)

考えてみれば大学のサークルというのは異常な集団で、全国大会出て…みたいな本格的なところは置いておいて、たいていの部活は、人間関係や思い出づくり、恋愛なんてさまざまな目的をもった人がごった返してている。話が合うから仲良くなるといより、一緒にいるから仲良くなるというような。
この小説はまさにその歪さを見事に描いています。解説にもコミュニケーションのためのコミュニケーションをしているとありましたが、まさにその通り。

私何々キャラだから、とか私こういう人間だから・・・的なメタ的な自意識が気づいたら蔓延している。草食系肉食系SだのMだの、そんな時代なのか。
好きな人によく思われたいから、…の振りする、というのは昔からあったんだろうけど、現実と表装の乖離という点ではどんどん離れて行っている気がする。

という自分もこう思われたいからこういう服を着るだの音楽を聴く、小説を読む、というような純粋な好奇心より、人に見られること前提に行動してたりするもんな。
極力自分の中の純粋な興味で行動したい。

恋愛小説は苦手ですが、山崎さんの小説はただの恋愛小説に終始しておらず、女性ならではの思考について知ることができ面白いです。また、実はみんなやっているんだけど無意識にしているような会話、行動が文章化されてて、とても共感できます。