心臓抜き

心臓抜き (ハヤカワepi文庫)

心臓抜き (ハヤカワepi文庫)

これはすごい。すばらしい。最後のページまで途切れることないイマジネーションの揺さぶり。不条理でシュールな世界観や登場人物たちがとってもキュート。そして時にグロテスク。過剰と欠損が極端な人たちばかり出てきて、でもまともじゃなさというところに、人間味が見えてくる。さまざまな物事への示唆にとんでいるように思え、読むたびに新たな発見がありそう。ジャックモールなんて、現代の若者そのものではないか。自分が何かを突き詰めるより、既成のものを集めたり、影響を受けたいみたいな人との繋がりで自分を満たそうとするところなんて。

願わくば、本作と"うたかたの日々"以外の作品も読みたい。