切れた鎖

切れた鎖 (新潮文庫)

切れた鎖 (新潮文庫)

不意の償い
罪悪感から精神的にどんどん追い込まれ被害妄想や幻覚を見るようになる男の話。どんんどん激しくなる罪悪感や被害妄想と、現実の出来事の強靭さの対比が痛烈。自問自答は逃げという言葉を聞いたことがあるが、膨らんだ妄想なんて現実の強さにはまったく意味がないという、価値観一変するような快感があり、ある種の希望みたいなものを感じた。


引きこもりを虫という喩えで書かれている。虫として客観的に描かれるから引きこもりがちな気持ちに対して胸が痛む。

切れた鎖
価値観はある程度環境なり親のしつけなり、植えつけられるもので、それが大人になって間違っていたかもしれないとか、自分で悔やんでもどうしようもなくて価値観を守るしかないのだから胸がつまる。