神様のいない日本シリーズ

神様のいない日本シリーズ (文春文庫)

神様のいない日本シリーズ (文春文庫)

ゴトーを待ちながら、と、1968年の日本シリーズをシンクさせた後半も盛り上がりがすごかった。ゴトー(祖父)は来ない、けれどそれと同じくらい二人(父と母)にとって重要な子供(香折)は来る、という直喩に強い感動を覚えました。子供は一言も声を発せず、父親一人がただ扉の奥にいる子供に語っているだけで、実際の登場人物より野球選手の描写が鮮明だったりして不思議な感覚(たとえば、父親が頭がおかしくて、いもしない子供に語りかけているとか妄想できる)にも陥りますが、ふと実世界でも近くにいる友達よりTVでよく見る芸能人とかのほうがよく見てて人間性も知ってたりすることも多い気がするのでそのように描写するのはとてもリアリティがあると思いました。