夏の水の半漁人

夏の水の半魚人

夏の水の半魚人

最初のお母さんの話が変わってて面白かったので期待したら、その後子供の話を丁寧に描いている普通の話だったので少し残念に思ってたが、後半の盛り上がりは引き込まれた。最後はどう受け取ればよいかわからない落ちだったけど。
子供の視点から語られる世界はとてもみずみずしく懐かしくもあり、読んでて自分の子供のころを想い出さされた。後半の盛り上がりは、取り返しがつかないことをしてしまって世界が終るように感じる子供の心情がとてもうまく描写されていた。子供のころはそういう時どうすれば良いかわからない。
そういった取り返しがつかない出来事のうち、自分の清算できなかった後悔は忘れつつあるけど完璧に忘れることができず、相手はもうおそらく気にしていないだろうけど、突然謝りたくてしょうがなくなる。けどそれはずるい。犯した罪なり後悔、恩義は背負って生きていかなければと思う。割とみんなそんな風に責任なり、恩や借りといってもいいけど、そういうのは別れ際すっきりしたからか極力清算しようとすると思う。でもその清算の仕方は自己満足でしかなくてずるい、と思う。だから自分は極力清算しないで生きていかなければという妄執にとらわれている。というかそういう風にしかできないのかもしれないが。
そんなことを思うと、さすがに今大人になってそこまで安易に、もう終わったな、なんて思いはしないけど、そんな時今もどうすれば良いか、良かったかなんてわかりはしないな、とか考えさせられた。