黒髪・別れたる妻に送る手紙

好きになった女の手のひらで転がされる男の滑稽さが面白い、というと、少し語弊がある気がする。その手のひらからはみ出しそうになると、とたんに恐怖(狂気?)を女性は感じるのではないだろうか。男はひたむきにそして紳士にしているつもりが本人は気付かないうちに狂気を帯びてくる。情痴小説って人間の普段は抑えている狂気の一端が垣間見えて面白い。

「疑惑」は続編があるようなのだけど、青空文庫等にはないようなのが残念。

黒髪・別れたる妻に送る手紙 (講談社文芸文庫)

黒髪・別れたる妻に送る手紙 (講談社文芸文庫)