大いなる遺産

訳が良いのかすごく読みやすい小説でした。小説というよりは物語という方が適切かもしれません。物語の醍醐味がすべて含まれていると行っても良いんじゃないでしょうか、とてもよくできています。また100年以上前の作品ですが、現代人にも通じる悩み、苦悩が描かれており、とても共感します。読む前のイメージとは異なり、主人公ピップの人間くささには、例えば太宰治人間失格的な共感もできます。
原題は、大いなる遺産という意味の他に、大いなる期待、という意味合いが含まれている、ということが後書きに書かれています。大いなる期待というタイトルには、何とも言えないネガティブな予感が感じられますので、日本語訳にはその意味合いがないのが残念です。

大いなる遺産 上 (河出文庫)

大いなる遺産 上 (河出文庫)

大いなる遺産 下 (河出文庫)

大いなる遺産 下 (河出文庫)