アヒルと鴨のコインロッカー

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

過去(二年前)と現在のオムニバス形式で語られる物語。物語が進むにつれ次第に二つが繋がって収束していく。爽やかな青春ミステリー。

現在の主人公である青年は、過去には一切登場しない。つまり物語の途中参加者で巻き添えを食らった人です。なので主人公でありながら彼にはわからない話が多くて、人は他人の物語に途中参加したり、途中下車したり、そういう現実感みたいなものがありました。

小説で主人公の知らない出来事が起こっていたりすることは別に珍しくないですが、この本のようにそれを改めて主人公が自覚するのもなんだか真新しかった。普通は読者の(物語の)知識として必要だから、主人公や登場人物が知っているいないに関係なく読者に向け書かれていることが多いと思います。
主人公が自覚することがより現実味あふれる人間にしていると思いました。