新訳走れメロス

新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1)

新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1)

山月記走れメロス、藪の中といった古典名作を、京都を舞台に青春をこじらせた学生に置き換えた、森見テイスト全開でリメイク。
これは期待以上に面白かった。最近の著書は変わってきてるようですが、初期の太陽の塔、夜は短し歩けよ乙女、四畳半神話体系などと同じく、青春をこじらせた学生の哀し面白いの話で多少飽きが気てもおかしくないのですが、
名作の構造にあてはめられると、森見氏のテイストはそのままに、新鮮さが加わります。書くようにして読み読むようにして描いたと著者もあとがきで触れてますが、つまり長い間受け継がれてきた名作には、何が惹かれる理由があるはずで、それを探しながら、自身で再構築するというのは、何か人に説明したり教えたりするのに似ていると思うのです。まず理論なりを自身が理解しないと人に教えることはできないことですし、そこから何が重要か、どう説明すると伝わるか、ということを考慮すると、それは理論なりの自身のリメイクともいえると思います。重要な何かの伝え方は人の数だけあるんと感じました。また重要さ基準も人それぞれなのかも。

しかし走れメロスなんて最初の数行で思わず笑ってしまうなぁ。