遠い響き

遠い響き (講談社文庫)

遠い響き (講談社文庫)

お宅族の描き方(お宅に限らず日本人大半にも当てはまりそう)が鋭くて面白く勢いで読まされました。が大どんでん返しがあるわけでもなく、落ちもなんだか釈然としなくてうまく消化できずもやもやした感じです。といってもいつまでも心に残るという予感はしないのですが。。
ただ冒頭の「闇の奥」という小説からの引用から察するに、夢の話を語っているのは、突然現れ話を語りだした男ではなく、小説の語り手である主人公なのかもしれない、と思いました。引用文は、小説そものもを否定しているともとれる内容なのですが、あえてそこを描いて見せたのかな、とちょっと思いました。

なお、町田康さんの解説がとても面白いです。町田さんはこう読んだのか、と。

余談ですが表紙のタイトルが、「遠い郷音き」となっているのは、意図的なんでしょうか。そもそも「遠い響き」というタイトルもいまいちピンとこないのですが、そのあたりが理解できれば解釈も変わるのかもしれません。