さよならクリストファー・ロビン

さよならクリストファー・ロビン

さよならクリストファー・ロビン

谷崎賞受賞作ということで読んでみました。メタ小説というのか、読みやすいけど、暗喩があるような何か心に引っかかる話でした。
とくに印象に残ったのは、表題作と峠の我が家。
表題作は、小説や絵本の登場人物が実は自分たちはだれかに書かれたお話の登場人物であることに気付いて、そんなある日、自分たちでお話を書かないと消えてしまうことになるという内容。現実の人間も自分で未来を創っていかないと消えてしまうよ、という割とストレートなメッセージが込められているのかと。
峠の我が家は、子供のころに対話相手として自分の中で作った友達(創造の生き物)で、子供たちが現実の友達を作ってくことで不要になった者たちが集まってくる家の話。そう言えば自分の中にもいたなと哀愁を覚えました。ノートの中だったりおもちゃだったり、心の中の対話相手として。で落ちがすごく良いのです。物語を作る人は大人になっても自分だけの友達を持っている人なのかもしれないと。グッときました。