ホテル・ニューハンプシャー

ホテル・ニューハンプシャー〈上〉 (新潮文庫)

ホテル・ニューハンプシャー〈上〉 (新潮文庫)

アーヴィングの小説は今まで何冊か読んできましたが、どれもめちゃめちゃおもしろくて最近読んだホテル・ニューハンプシャーも例外ではありませんでした。

アーヴィングの小説は登場人物がショックな出来事を体験する話が多く、今回でいえば、フラニーが輪姦されたこととか、その相手に何年かして再会することが何より衝撃でした。

しかもそれをただ袋叩きにされた、と言い張るフラニーや、それは実は人生で一番幸福な日なのかもしれない、というアイオワ・ボブ。それを受け入れるフラニーの強さ。たまに考え方が凄すぎて、理解しかねることがあり自分の思考力のなさに腹立たしくなることもあります。

例えば、オウエンのために祈りをではオウエンが主人公のアルマジロの剥製の爪を盗む理由やらです。でもオウエンではケネディがマリリンモンローと関係があるという噂を聞かされ絶望するオウエンに主人公が、でも君だだってもしケネディの立場、つまり何でも好きなことができる状態、だったらやるだろ、見たいな事を言ってたのですが(うろ覚え)、オウエンはそれに対して、つまり君の今までの道徳教育はまったく無駄だったわけだ、と返答するのです。その純粋な信念を目にすれば、自分を恥じるだけです。

アーヴィングの小説は喜怒哀楽すべてが含まれてて、感情をいろんな方向に揺さぶられます。やっぱそれが小説を読む醍醐味の一つなのでしょう。